柳井電機工業株式会社 様
ナレッジベースの構築に際して、ナレッジを蓄積するための「器づくり」を行うことをフェーズ1とし、フェーズ2では蓄積したナレッジを自動的に引き出せるようにしました。原田氏と一緒に、技術面を担当した島田氏が語ります。
「フェーズ1では、現地へこまめに足を運んで得た情報や、ヒアリングで集めたノウハウをナレッジとして可視化し、コンテンツとして取り込みました。そしてフェーズ2では、それらのコンテンツとトラブル情報を連携させ、トラブル対応のナレッジを表示させるアプリケーションを導入しました。さまざまなノウハウを提供してくれた技術者の方からは『これがあれば、若い技術者もスムーズに作業ができそうだ』という感想をいただいています」トラブル対応のナレッジが、そのつどパソコン画面に表示されるのですが、原田氏は「警報による対応を重要度で分けて、なるべく出動の回数を減らせるよう、これを機に人の配備まで見直した」と言います。そこには、上水道設備というインフラを支える技術者の働き方を変えたいという思いもあったようです。
「水道インフラの維持管理は『この人でなければ対応できない』というカリスマ技術者を生み出していました。トラブルのたびに24時間365日呼び出されますから、心が休まる時がありません。これからは、このようなカリスマを生み出してはいけない。ナレッジベースを基盤とした誰にでも対応できる仕組みは、誰もがより良く生きられるウェルビーイングにも貢献できると考えています」と原田氏。その成果として、技術者の残業時間を導入前の約1/8まで削減できたそうです。さらに、ノーコード*でIoTアプリケーションを開発できるツールを活用し、ナレッジベースをハブとしてもっと効率的に、そして働きやすくするための自動化を、原田氏と島田氏が中心となって進めています。
厚生労働省では、自治体が抱える水道事業の課題解決に向けて、市町村の区域を越えた広域連携を推進しています。原田氏は「広域的な設備の維持管理を見据えると、ナレッジベースは当社の強みになりますし、コンテンツを一層充実させて取り組みたい」と語ります。
そして、次のステップとして取り組むのが機器のデータ収集と予兆です。原田氏が続けます。「日立パワーソリューションズさんと一緒に機器診断システムC³-Edgeと予兆診断システムHiPAMPSの導入を進めています。機器のデータを収集し、どのような兆候からどういったメンテナンスをすれば故障を未然に防げるのか、機器を長持ちさせるためにはどう動かしていけばいいのか、これまで人が知恵を絞って取り組んでいた部分の自動化を一歩ずつ進めていきたい。自動化は、水道事業広域化においても必要になってきますから」
また、保守の視点からさらなる事業拡大も視野に入れているそうです。「水道インフラに関わっていると、ほかにも手が行き届いていないインフラが目につきます。水道管が敷設されている橋とか、小さなトンネルとか、老朽化を迎えているインフラに対して、私たちが点検できる部分、地域を守れる部分があるのではと考えます。このときもナレッジベースが必ず大きな力になります」と原田氏。
日立パワーソリューションズは事業者さまの思いに、技術に裏打ちされた提案力で応え、インフラ保全事業の新たな一歩をともに力強く踏み出していきます。
柳井電機工業株式会社 様
ティールファシリティーズ株式会社 様