株式会社 前川製作所 様
前川製作所は、産業用冷凍機やヒートポンプ、食品加工機械の製造・販売から、プラントの設計・施工・アフターサービスまで幅広く展開する100年企業です。2003年に操業を開始した東広島工場は、その後2回の工場拡張を経て現在に至りますが、生産機械の稼働を支える受変電設備をはじめ、共通設備のデジタル管理の遅れが課題となっていました。装置間の連携も念頭に、設備保全の最適化に向けて日立パワーソリューションズの保守支援ソリューション「サイトリミックス」の設備カルテシステムを導入。課題解決への取り組みを前進させるとともに、将来的には他設備の効率的な管理も見据えて、保守管理システムの一層の充実をめざしています。
前川製作所 東広島工場では、2003年の操業開始後、2008年、2017年に新たな工場棟の稼働を開始しました。堅調な生産実績を積み重ねる一方で、設備保全と技術継承の両面で課題が浮き彫りになってきたことを、工場長の福田氏が次のように話します。
「工場の立ち上げを経験したメンバーは装置や設備についての知識と経験が豊富で、不具合が起きた場合の対処方法も熟知しています。しかし今、世代交代の時期に差しかかっており、属人化した知見の継承が難しくなっています。当工場は産業界と社会インフラを支える重要な機器を製造していますので、止めることは許されない。今後の安定稼働を見据えると、設備保全の技能を新たなメンバーに引き継いでいくことが重要です」
加えて、経営面の課題について福田氏が続けます。「装置や設備には個体差があり、長く使えるものもあれば、早期に更新が必要なものもあります。設備情報をアナログ管理していては、故障の有無にかかわらず交換や更新をする定期保守以外の選択が難しいため、保全費用を削減できないという経営課題がありました」
受変電設備の保守管理を一手に担っていた池森氏は「課題解決に向けて必要なことは、情報のデジタル化と共有化」と強調します。「最初にすべきは、工場の全稼働を支える受変電設備の計画保全・定期更新に向けた情報のデジタル化と一元管理でした。誰でも確認できるように情報を見える化して、設備や部品の状態に合わせた保全管理につなげ、メンテナンス時期を最適化することが目的でした」と池森氏は振り返ります。
そこで、デジタル化の第一歩として受変電設備の保全に、日立パワーソリューションズの「設備カルテシステム」を導入。その理由として、「当工場では日立さんの受変電設備を使っていて、日立パワーさんが保守しています。日立パワーさんと瑞穂さんと当社の3社でデータをアップデートして共有できれば、部品交換や定期更新時期の抜け漏れをより強固に防止できます。保全ミスで工場を止めるわけにはいきませんし、将来的には電力も一括して監視できるであろう点に大きな可能性を感じました」と池森氏は語ります。それでは、システムの導入によってどのような成果を上げつつあるのか見ていきましょう。
株式会社 前川製作所
東広島工場 工場長
福田 喜伸
(ふくだ よしのぶ) 氏