株式会社 前川製作所 様
東広島工場では、設備カルテシステムの運用によって、保全計画の立案から点検実績までを一元管理できるようになりました。池森氏は「3社でのデータ共有によって、受変電設備のどこにどのような機器があって、どのような部品が使われていて、交換時期はいつなのか、3社で確認できます。さまざまな情報を加えつつアップデートしていくことで、タイムリーに問題も共有できます」と効果を実感。2024年、20年に1度の受変電設備の入れ替えがあり、そのタイミングで設備カルテシステムが運用開始できたため、保全計画作成に取り組みやすくなったとのことです。
福田氏も効果を実感しています。「交換時期やメンテナンスのタイミングがデータ化できたことで、担当者から具体的なプランが早く上がってくるようになりました。アナログ管理に比べて計画的な保全が可能になりましたし、経営としては欠かせない根拠に基づいた中長期計画を立てる上でも役立っています。また、これまで担当者の頭の中、パソコンの中で進行していたことが、こうして誰でも確認できるようになったことで、新たなメンバーが保全の現場を引き継ぎやすい環境も整った手応えがあります」
誰もがデータを見られることに関して、池森氏は次のように期待を寄せます。「経営側が見たい情報は、今後の設備投資に向けた更新や修繕などの費用で、予算管理の視点です。一方現場は、より効率的かつ確実に保全をしたいという設備を止めない安定稼働の視点です。今後、クリックするだけで欲しい情報が誰でも見られるようになり、今以上に現場と経営がつながっていくといいですね」
株式会社 前川製作所
東広島工場
業務グループ環境・安全推進・施設管理担当
課長補佐
池森 新路
(いけもり しんじ) 氏

設備カルテシステムの導入で、当初目標としていた受変電設備のさまざまなデータの一元管理が実現しました。池森氏は「次にめざすのは、電力監視装置、保全システム、各機械の稼働データの統合管理です。統合管理で、効率的な設備運用と保全管理、エネルギー管理を継続的に改善していきたい」と考えています。
東広島工場では日立産機システムなどの日立グループの設備も導入しており、日立パワーソリューションズはOne Hitachiによる統合管理に向けて、期待に応えるべく検討を進めています。
統合管理をめざす背景には、全社的な取り組みにつなげたい思いがあると、福田氏は言及します。「工場単位、事業所単位で管理していくのではなく、前川製作所としてメリットを生み出していく視点が重要だと考えています。設備カルテシステムがあると、全社的な計画を立てやすいですし、今後はそうした広がりも見据えて取り組んでいきたいです」
また、工場長として新たな気付きもあったと言います。「モノづくりをする生産機械の状態にはそこに携わる皆が気配りをして丁寧に保全しますが、生産機械を動かす受変電設備のような共通設備には目が届きにくい現状がありました。動いて当たり前という思い込みがあったのかも知れません。担当者が1人で抱えていた課題をきっかけに情報が見える化されましたので、私もしっかりと見ていきたいと気持ちを新たにしました」と福田氏。今回の導入を通して、組織の結束力もより高まっているようです。
日立パワーソリューションズは、技術に裏打ちされた提案力で事業者さまの思いに応え、製造業の新たな一歩を力強く支援していきます。
株式会社 前川製作所 様