日本政府は、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略の中で、「脱炭素社会の実現をめざす」というビジョンを掲げています。
当社は、再生可能エネルギー事業の拡大とエネルギーの地産地消化推進を支援することで政府の戦略に貢献すべく、風力・太陽光・バイオガス発電システム、蓄電池システムなどの導入に継続して取り組んでいます。例えば、風力発電では設置地点の開発への貢献、電力系統の安定化と新しい電力取引事業のビジネスモデル確立では、NEDO*1の委託を受けた「大規模ハイブリッド蓄電池システム」実証事業*2への継続的な参画です。
これらは温室効果ガスの削減と地域の活性化につながると同時に、SDGsの達成にも貢献する取り組みです。
日本は、めざすべき未来社会の姿として「Society 5.0」の実現を提唱しています。これは、あらゆる人が生き生きと快適に暮らせる人間中心の超スマート社会で、社会のさまざまなデータ、AI*1やIoT*2などの革新的な科学技術を用いて、経済発展と社会的課題解決の両立をめざしています。これらの科学技術やビッグデータといったデジタル要素の活用は、ビジネスの世界でも重要度を増しています。
当社は2019年度の運営方針として、エネルギー、インフラの事業領域において「デジタル×OTサービスプラットフォーム*3を提供し日立のめざす姿の実現に貢献する」を掲げています。この実現には、組織の体制を製品軸からソリューション軸へ変更する必要があるため、2019年4月に「サービスソリューション推進本部」を新設しました。またサービスソリューション事業を拡大するために、予兆診断などデジタル技術を利用した保守業務の高度化サービスなど、新規サービス事業の創生と早期実用化をめざします。そしてソリューションの提供を通してお客さまの課題を解決する高付加価値サービスを提供し、「Society 5.0」の実現に貢献します。
当社が製造している二次電池製造設備や電子部品用セラミックス、超音波映像装置、工業用マグネトロン、発電プラント機器などのプロダクトは、持続可能な社会の実現に貢献するソリューション事業を支える基盤となっています。そこで、プロダクトの信頼性と経済性を高める取り組み強化を目的に「プロダクトソリューション本部」を2019年4月に新設し、プロダクト事業の集約を図りました。2019年度は、伸張するグローバル市場に向けてハイエンド製品の拡販をめざします。加えてこれを実現するために、プロダクトの設計・製造を支えるエンジニアの育成も積極的に推進していきます。