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Hitachi

ナレッジをつなぎ、保守をアップデート。年々高まる社会インフラや工場設備の保守負担。
これを軽減するため、現場とIT部門が一体となって、働き方改革と技能伝承を実現。

設備保守のニーズが高まる一方、保守員の高齢化によりノウハウ伝承が深刻な課題

社会インフラ分野やモノづくり現場にとって、設備やシステムをいかに安定稼働させるかは重要な課題です。しかし、設備の老朽化や保守員の高齢化に伴いノウハウ伝承がスムーズに進まず、一人ひとりの保守負担は増大の一途をたどっています。従来のやり方では、もはや限界に達しているのです。これは、高付加価値サービスの提供をめざす当社にとっても、深刻な課題でした。この状況を打破すべく、社内の保守業務の効率化に取り組み、その成果をまとめたものがナレッジベース保守支援ソリューション「サイトリミックス*」です。
この取り組みでは、社内の保守員に課題をヒアリングすることから始めました。例えば、LANを差し込めば稼働データを収集できる最近の設備以外に、工場には古い設備が数多くあり、これらに異常がないかを1時間に1回、半日に1回と、巡回したり、メーターを見て記録したりしなければならないことが、日々の負担であることが分かりました。また、専門技術が必要な機器も多く、点検のつど、ベテラン保守員が同行しなければならないという課題がありました。さらには、点検後、報告書をデータベースに入力・保存するために事務所に戻らなければならないことも、課題の一つでした。

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「サイトリミックス」は株式会社日立パワーソリューションズの登録商標です。

デジタル化で保守現場の働き方を改革


サービス&プロダクトソリューション事業統括本部
情報・制御サービスソリューション本部
デジタルソリューション部
渡辺 武志

私たちはまず、デジタル化を用いた巡回支援に取り組みました。古い設備にセンサーやネットワークカメラを取り付けることで、設備の状態を遠隔地から見える化。巡回の回数を削減しました。次に、振動センサーから故障の予兆を捉える自動診断技術を開発し、重大事故を未然に防ぐ計画的な部品交換を実現しました。さらに、タブレットやスマートグラスを使った保守作業の支援システムを構築。サポート部門の技術者と画像や資料を共有しながら作業できるため、ベテラン保守員が同行しなくても点検できるようになりました。報告書も、保守・点検現場でタブレットからデータベースに入力・保存できるようにしたため、事務所に戻る必要がなくなりました。このようにデジタルを活用した結果、保守にかかる時間を大幅に削減。保守現場の働き方改革につながりました。

設備に関するあらゆる情報をつなぎ、ノウハウ伝承を実現

自社の保守部門の働き方を変えたこれらの仕組みを「見える化サービス」「予兆・予測診断サービス」「保守作業支援サービス」として商品化。24時間365日体制で監視する「遠隔監視・支援サービス」を加え、サイトリミックスとして体系化しました。その核となるのは、設備に関するあらゆる情報をひも付け、抽出する技術です。稼働情報や故障情報などの設備データ、保守履歴や部品在庫などの管理データに加えて、「このネジは締めすぎない方がいい」といった現場ノウハウ(ナレッジ)も抽出できるため、設備の調子が悪いときに、迅速かつ適正な対処が可能になります。ベテラン保守員のノウハウを登録しておくことで、若手保守員への技術の伝承も実現できます。
自社の保守現場での気付きから生まれたサイトリミックス。これからはお客さまの働き方改革に貢献できるよう、運用後の気付きを生かしたさらなる効率化も計画していますので、ぜひご期待ください。